そして、来月は、春のお彼岸となります。
三月十八日にお彼岸入りとなり、二十四日にお彼岸明けとなります。
「彼岸」の本来の意味は、七日間にわたって行われる法会(彼岸会)のことで、この頃になると、
「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉どおり、しのぎやすい季節になります。
また、「彼岸」の名称は、仏典の到彼岸(波羅蜜多という梵語の漢訳)からきていると言われていますが、
その意味は、この現実世界から、煩悩を解脱し、理想の涅槃の世界へ行く、という意味だそうです。
(現実=此岸・しがん 涅槃=彼岸・ひがん)
さて、今回は、前回の「文字のお掃除」で、綺麗になった彫刻文字に、色を入れる方法をご案内します。
私達のような業者でも、色々な方法で色入れをしていますので、どれが一番良いのかは、わかりませんが、
今回のご案内は、ご自身でお墓のお手入れをして頂くための参考として、ご覧頂ければと思います。
使用する塗料は違うかもしれませんが(業者でも、同じ塗料を使っているところもあるようなので、ご安心下さい。)、
手順は、同じです。
お天気のいい日に、お弁当持参で、のんびりお墓にお化粧をしてあげれば、色を入れるだけでも見違える様に、
なります。
でも、あくまで自己責任でお願いします。
では、始めます。
今回は、一般の方でも、墓石本体の色入れと比べ、作業がしやすい「墓誌版」で、ご案内します。
まず、墓誌版で、経験を積んで、「出来る!」と、自信が付いたら、お墓の正面彫刻文字に挑戦してみてください。
「無理だ・・・」と思われたら、深追いするのは止めましょう!
業者に頼んでも、一万円から二万円程でやってもらえますので、(ちなみに当店は、墓石一式で、一万八千円税込です。
少し宣伝させて頂きました。)潔く、プロに任せましょう。
また、石材がツルツルの鏡面仕上げでない場合や、鏡面仕上げであっても御影石(花崗岩)以外の場合は、塗料が染みこんでしまう事がありますので、充分注意して下さい。
ステップ@ 道具
では、用意する道具の説明です。次にご案内する道具が必要になりますので、ホームセンターで購入して準備しておきましょう。
1) ブラシ 古い塗料を剥がします。
2) 養生テープに紙テープ
3) 筆 色入れに使用します。
4) ラッカー塗料 絶対に必要です。
5) スクレーパー 余分な塗料を取り除きます。
上記のうち、スクレーパーをお持ちの場合、「刃」だけは新品に取り替えて下さい。ココが、コツでもあります。
ステップA 古い塗料を剥がします。
元々、色が入っていて、剥がれてきているような場合は、ブラシなどを使って綺麗にして下さい。
前回のお掃除で使用したブラシがあれば、それを使います。
全部、綺麗に取らなくても構いません。私達は、剥離剤を使って、完全に除去しますが、そこまでしなくても、5年〜6年は、持ちます。
ステップB マスキングをします。
写真の様に、文字の周りを紙テープで、マスキングします。
そして、墓誌版の下に、養生シートを、写真と同じように張ります。 意味は、後でわかります。
ステップC 色入れ
さあ!いよいよ色入れです。落ち着いて、ゆっくりと進めましょう。
慌てる必要は、まったくありません。
ココで、ポイント!
缶入りラッカーは、塗料と、うすめ液が一緒に入っていますが、缶の中で分離しています。
なので、缶を開ける前に、よく振って混ぜ、缶を開けて塗る際も、定期的に混ぜましょう。
また、筆は、ドボッと浸けずに、筆先で塗料を少し取るだけでいいです。
ドボッと浸けたりすると、余計な所に色がベタベタ付いて、後で余計な手間が掛かります。
多少、文字からはみ出しても、気にしません。サラサラと筆を進めて下さい。
ステップD 仕上げ
ここまで来たら、ほぼ完了です。
塗料がしっかりと乾いたのを確認して、スクレーパーで、余分な塗料を剥がします。
この時に、塗料が生乾きだと、今までの作業が台無しになってしまいますので、とにかくしっかりと乾かして下さい。
冬場で1時間〜2時間、夏場で30分〜1時間程度でしょうか。
お弁当タイムですね。
この剥がす作業で、最初にマスキングした養生シートが効いて来ます。
剥がれた塗料は、小さな削り節の用で、墓地に那智石などが巻いてある場合など、その中に入り込んで、取り除くのが大変です。
削りカスは、養生シートで受け止めます。
ステップE 完成
ハイ、出来上がりました。
どうでしょうか? 是非、チャレンジしてみてください。
一文字づつ、筆で色を入れていきますので、おじいさんやおばあさんの戒名や法名などに使われている文字や、その意味をじっくりと考えるとても良い機会になると思います。
ご閲覧ありがとうございました。 木村