そして開眼式前日の昨日、お引渡し後に巻いた晒・晒布(さらし・さらしぬの)は、しっかりと汚れを吸収し、精入れ前の無垢な墓石を守ってきましたので、新しい晒布に巻き直してあげます。
お引渡し直後に巻いた晒
開眼式前日に巻き直した晒
さて、ではなぜ完成した墓石に晒を巻くのでしょうか?
墓地へ行くと、真新しいお墓に白い布が巻いてあるのを見かけることがあると思います。
それが、完成してお墓開きを待っている、晒の巻いてある墓石です。
皆様もご存知の通り、墓石は「石」で出来ています。
なぜお墓は「石」で出来ているかというのは、後日改めてブログにアップさせて頂きますが、
私たちの住む日本の国は、古くから自然崇拝が生活の中に深く浸透していました。
山、海、土など実に多くの神様がいて暮らしの規律として守られ、信じられてきたようです。
また「岩」なども、神様が宿る対象として多く祭られています。
そして「石」、特に墓石に使われる「御影石」(花崗岩)は、地中に埋まっている岩石ですが、何億年、何十億年ととてつもなく永い年月をかけて出来上がった自然が作った生産物なので、そこから削り出された「墓石」には、何かが宿る、と考えられたのでしょう。
以前にもお墓に晒を巻く事に関してブログに書きましたが(コチラ→ 完成 晒(さらし)を巻く)
、晒の布は古くから神事には欠かす事の出来ないもので、今は木綿ですが、元々は麻布を天日に干して、真っ白にしたのを晒(さらし)としていたようです。
伊勢神宮ではお札を神宮大麻(じんぐうおおぬさ)として配布されていますが、昔はその名の通り大麻(おおあさ)が使われていたそうで、麻は厄除けや穢れ(けがれ)を拭い去る力を持つ繊維とされていたようです。
晒布は元は麻布だったので、晒を巻くことで無垢な状態のお墓を守るという理屈もうなずけます。
また、実際に汚れも防いでくれます。
お引渡し後にすぐ晒を巻きますが、何日か経つとカビが出ていたり、汚れもかなり目立ってきます。
空気中のカビ菌なども防いでいるのでしょうね。
お引渡し後、すぐにお墓開きをされるのなら巻き直しも必要ありませんが、タイミングを合わせてお墓開きの直前にお墓を完成させるのは、現実的に無理なことなので、2〜3週間前には完成する工程を組みます。
なので、どうしてもお墓開きまで何日か空く為、前日に綺麗な晒に巻き替え、お色直しをしています。
お引渡しまで「墓石」を守ってもらった晒布から新しい晒布にバトンタッチをして、お施主に除幕して頂きご家族の「気」を入れて頂くことで「お墓」になるのでしょう。
昔からしている事は、それなりの理由があるのですね。
ありがとうございました。
石のきむら 木村
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